近視人口の増加が
世界的な社会問題に

当院では、お子さんの近視進行を抑制するために国内外の最新の研究結果に基づくいくつかの治療法に取り組んでいます。
近視の進行を抑制する治療法
当院で取り組んでいる治療法は3つです。
何が原因となって近視は発症するのでしょうか。
近視について

近視の発症原因には「遺伝」と「環境」が大きく関わっているとされています。
遺伝による近視はその多くが角膜から網膜までの長さ(眼軸長)が伸びて発症する「軸性近視」がほとんどです。
近視は発症年齢が低いほど進行しやすいうえ、眼軸長の伸びすぎは網膜剥離・緑内障・飛蚊症・黄斑変性症の発症リスクを高めます。
最新の研究では、屋外活動の時間が長いほど近視抑制効果があるとされ、活動中に浴びるバイオレット光が深く関与していることが明らかになりました。
点眼治療(マイオピン点眼)

この点眼液を毎日(就寝前)両眼に1滴ずつ点眼するだけで、近視の進行を平均50~60%軽減させる効果があります。
マイオピンとはこんな点眼液です

しかし、アトロピン(1%)には、強い光に対する不快感やアレルギー性結膜炎などの副作用が問題視されていました。
ところが、低濃度のアトロピン(0.01%)でも近視の進行を抑える効果があること、副作用も現れないということが臨床試験で証明され、マイオピン点眼液として主に小児期の近視の進行抑制のための治療に使用されています。
マイオピンの安全性(メリット)
「マイオピン」はアトロピン1%と比べ、副作用がほとんど現れず、近視症状の進行を効果的に抑制することが数々の研究で証明されています。
- ● 副作用の心配がほとんどない近視抑制用点眼液
- ● 近視の進行を平均50~60%軽減
- ● 光のまぶしさにほぼ影響されない
- ● 目の遠近調節機能(手元をみる作業)にほぼ支障がない
- ● アレルギー性結膜炎、皮膚炎の発症がみられない
- ● 眼圧(IOP)に変化がみられない
さらに、最新(2018年)の研究では、軽度近視にはマイオピンとオルソケラトロジーとの併用でさらなる抑制効果がみられたという臨床結果が報告されています。 ※自治医科大学附属さいたま医療センター眼科による研究。2018年4月までの1年間併用42例、単独35例、2年間併用26例、単独25例、計128例の臨床結果を分析。
オルソケラトロジーとは

お子さんの眼軸伸長を抑制する効果も確認されるなど、近視の進行を軽減する治療法の一つです。 詳しくはこちら →
適切な眼鏡処方
(完全屈折矯正の重要性)
眼鏡で近視は進行しません

「眼鏡=近視が進行する」を信じ、裸眼で無理をするのはおすすめできません。たとえば授業中、黒板の文字が見えず学習に支障が出る・スポーツや外遊びの際、見えないことによるケガ・目つきが悪いと指摘される……などお子さんにさまざまなデメリットが生じます。
眼鏡は“度”が強いほうがよい?
それとも弱いほうがよい?

また度が強すぎても目の調節機能が疲労しやすくなり、かえって近視が進行する恐れがあると考えられています。
つまり眼鏡による近視補正は、目の状態にきちんと合わせた度数にすることが重要です。
(出典:Vasudevan B,Esposito C,Peterson C et al:Under-correction of human myopia - is it myopigenic? Aretrospective analysis of clinical refrection data. J Optom 7:147-152,2014)
近視の進行を抑制するには、遠くから近くまで常にクリアに見えたほうが効果的といわれています。
そこで、当院ではお子さんの完全矯正値を計測するため、必要に応じてピントを合わせる眼の調整機能を一時的に麻痺させる「点眼薬」を使用します。
計測器で割り出した屈折値と検査結果と照らし、最適な完全矯正値をお伝えします。
近視人口の増加に伴い、
眼鏡も進化し続けています

たとえば累進多焦点、軸外収差抑制、二重焦点などの特殊なレンズを使った眼鏡が近視矯正に用いられています。
近視人口の増加に伴い、さらに効果的な矯正方法が期待されています。